2023/09/26

連載『スポーツ情報って面白い!』⑳/スポーツとデータサイエンス

 現在,データサイエンスに関する知識や技術が求められている.文部科学省も「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」を始めている.高専,大学卒業生全員がリテラシーレベルの内容の習得に向けて,カリキュラムの改訂や教育環境の整備などを行うことで実現させようとしている.なお,本学の場合は,体育系大学であるが,データサイエンス教育に力を入れており,すでにリテラシーレベルの認定を受けている.
1.データサイエンス
 データサイエンスとは,データの収集・分析などを統計学や情報学など科学的に行う学問分野である.近年,様々な大学で学部・学科としては新設あるいは改組されている分野でもある.高度情報化社会において,データから適切な分析手法を用いて得た有用な情報をビジネスや研究などに応用することができる.

2.スポーツとデータサイエンス
 スポーツの世界もデータサイエンスと密接な関係となっている.ゲームでのパフォーマンスや戦略を向上させるために,データサイエンスの分野が活用されている.例えば,野球ではプレイヤーの動作や球速,球種などのデータを収集し,分析することで,投球や打撃の改善点や対戦相手の傾向を把握することができる.
 また,野球の成績や能力を客観的に分析するための手法として,セイバーメトリクスがある.これは,従来の打率や本塁打などの統計よりも,より詳細で科学的な指標を用いて,選手を評価するものであり,これもデータサイエンスと言える.このように,データサイエンスは,スポーツのパフォーマンスや試合の戦略を科学的に検証したり,選手の能力や特徴を客観的に評価したりでき,スポーツの世界に新しい知見や価値をもたらす可能性があるのである.
 スポーツの世界とデータサイエンスが大きく関わっているということは,当然,初等中等教育においても,保健体育の授業とデータサイエンスも今後関わってくるだろう.つまり,単に各競技を教えればよいというわけにはいかないということだ.これから保健体育の教員を目指す学生は,データサイエンスに関連する分野をある程度理解していなければならないということだ.同時に,教員はパソコンやタブレット端末を主体的に授業で活用できなければならない.このような分野に苦手意識がある人は,少しずつでも良いから,地道に勉強し,ハードウェアやソフトウェアの使い方に慣れていこうではないか.
 
<スポーツ情報マスメディア学科 准教授 橋本智明>
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