2022/02/28

連載『スポーツ情報って面白い!』⑧/『情報』としての卒業論文とその発表

 スポーツ情報マスメディア。本学科の名称です。「スポーツ」「情報」「マスメディア」という3つの言葉で構成されています。学科の英語表記をみると“The Department of Sports Intelligence & Mass Media”となります。「スポーツ」に関する「情報」と「マスメディア」ということを学ぶ学科です。「情報」は“Information”ではなく“Intelligence”です。一般的に“Information”は「生のデータ」を指し、“Intelligence”は「加工された有意なデータ」を指します。この意味のあるデータをスポーツ現場の競技場面に活かしていくものが「情報戦略」であり、意義・主張を発信していくものが「情報マスメディア」になります。
 意味のあるデータを扱うということは、卒業論文作成の際にも行われる重要な過程になります。卒業論文作成自体は本学科独自のものではなく全学科共通のものになりますが、学科の卒業論文発表会を観ると非常にユニークな論文が多くあります。

 今回は、私の研究室の卒業論文の取り組みを紹介します。専門はバドミントンにおける情報戦略研究ですが、学生が研究対象とする競技については限定していません。軟式野球やビーチバレーを研究している学生もいます。測定・実験や分析によって得られた「生データ=Information」を「意味のある情報=Intelligence」に作り上げるということが非常に重要です。この「意味のある」という部分は、研究の中では統計学の利用が重要な手法となります。「統計学的に有意である」ということは研究としての客観性(説得力)が増すことになるからです。研究論文を作成する上では必須の学修事項と言えます。
 論文作成における指導で重視していることは、「わかりやすく記す」ということです。本田勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)を教科書にして、わかりやすい記述を目指しています。論文という形で「意味ある情報」を作り上げると、最終段階としてその情報を発信します。プレゼンテーションですが、私の研究室では学会における発表を義務としています。3年生時にグループ研究でポスター発表を行い、4年生時に卒業論文を口頭発表します。東京体育学会や日本スポーツリハビリテーション学会、日本コーチング学会、日本バドミントン学会などで発表しています。意味のある情報を作り上げ、その発信を記述による形と口述による形とで実践していくということを学びの修めにしています。研究によって知り得た知見というものはもちろん「意味のある情報=Intelligence」であり、広く共有していくべき情報です。世の中を良くしていくという意志を持って研究を行い、社会に出ていった後にもその精神を持ち続けていって欲しいです。
 本研究室の次なる課題としては最終的なプレゼンテーションを英語で行いたいということです。情報発信力としては、日本語よりも英語の方がはるかに高いからです。少し時間を要すると思いますが、数年後には実現していきたいと思っています。





<スポーツ情報マスメディア学科 准教授 林 直樹>
 

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